メッセージ

MESSAGE

「 HOPE -希望- 」

新型コロナウイルス感染症の流行が続き、日常生活が制限される中、文化芸術活動においても例外なく、制作・発表・鑑賞の場を、これまでの自由闊達な交流・表現活動の場として設けることが困難になっています。
文化芸術は、一人で、あるいは仲間と一緒に作り上げ、多様に表現する作り手としての喜び、また、素晴らしい作品に触れ、心が震えるような大きな感動に出会える鑑賞者としての喜びをもたらしてくれます。そして、一個人の文化的な営みはひとたび表現や交流の場を得ると、他の人々の心に働きかけ、人々の生活やひいては地域社会に広がっていく大きな力となります。
私たちの心や暮らしに、豊かさやゆとり、喜びという彩を添え、生きる力や気づきを与えてくれる、文化芸術活動の灯火を絶やさないよう、一人ひとりの願いと期待を込めて、文化とアートの力で「希望」の灯りを紡いでいきます。

あいづまちなかアートプロジェクトに作品を出品いただいた皆様から、2021年のテーマである「HOPE - 希望 -」に関連してメッセージをいただきました。 文化芸術に関わる作り手の皆さんの真摯な言葉とそのまなざしが、明日への希望の灯を紡ぎます。

作家メッセージ(漆)

松島さくら子  (国立大学法人 宇都宮大学 教授 うるし その可能性と未来)

東南アジア各国の漆器産地で、日本と現地の専門家や学生と、漆工芸を通した交流活動を行ってきましたが、コロナ禍で交流は一変しました。各国のパートナーたちとオンラインにて漆工芸の現状を記録し、ささやかながら動画の発信をスタートさせました。遠く離れていても、状況は変わっても、皆、漆への思いは変わらず、漆を通して育まれた友情は堅く結びついていると感じます。9年目を迎えるあいづまちなかアートプロジェクトも、まさに会津と全国の若い世代を結びつながりを形成してきたといえます。困難なことがあっても、漆で表現することと、その表現と魅力を共有できるコミュニティがあるからこそ、希望となり明日への一歩を踏み出せるのだと、感謝しています。

八木由紀子 (会津漆器職人 会津蒔絵ピアノ「花明かり」制作)

会津に縁のある方から「ピアノに蒔絵を」というご依頼をいただき、このアートプロジェクトの場をお借りしてお披露目する機会をいただきました。ありがとうございます。 このような大変な時期に淘汰されそうな工人ですが、今までの歴史を顧みると、そんな時こそ工人は光を灯し、底上げをしてきました。 なんの学もなくともヒトは歌い、踊り、描く。まちなかアートプロジェクトと、このピアノを通して希望の灯火になれればと願っております。

照井克弘 (会津漆器協同組合青年部 会津漆器野点茶道具加飾プロジェクト)

新型コロナウイルス感染症がすでに日常になってしまってから久しくなります。今までの普通が普通ではなくなり、非日常が日常になってしまい、不安な日々が続いています。 昨年、会津漆器協同組合青年部は蒲生氏郷入府430年を記念して、茶人でありキリシタン大名でもあった氏郷公にちなんで野点の茶道具を制作しました。今年はさらに南蛮漆器風の加飾を増やし、青年部独自の解釈で絵付けをしました。茶道をはじめ、いろいろな分野と繋がっていくことが、漆の未来に繋がっていくと信じています。この野点セットを使いお茶をたて、多くの人に使ってもらえる日が来ることを楽しみにしています。

作家メッセージ(ピナコ)

伊藤将和 (国立大学法人 上越教育大学 准教授 子どもたちとアーティストによる特別企画「ガラスアートに挑戦」)

ガーベラ、アネモネ、アヤメ、スノードロップ、レンギョウ、マツ、キキョウ、サンザシ・・・「希望」を意味する花言葉を調べればその種類の多さに驚きます。それは昔から私たちの祖先が、一年を通して咲くいろんな花々に「希望」を見出していた証拠なのかもしれません。誰もが持っていて、目には見えなくて、でも確かに存在していて、未来に繋ぐことができて、いつか誰かの勇気に変わるもの。謎かけのようにも聞こえる「希望」の姿は、アートの本質と似ているようにも感じます。このアートプロジェクトが、誰かの「希望」に優しい彩を添えられたならと願います。

渡部麗幸  (新しいAIZUの美術展)

昨年からずっと新型コロナウイルス感染症によって抑制された生活が続いている。そんな中始まった東京オリンピックは日本のメダルラッシュに沸き、大盛況で幕を閉じたが、その後感染者数が増加してしまったのは否めない。未だ厳しい状況ですが、たくさんの方のご協力によってこのような作品発表の場を設けていただける事はとても有難い。感染症対策をしっかりとして、一人でも多くの方に、実際に作品を見て楽しんでいただければ幸いです。一日も早く普通の生活に戻り、自由に制作・発表・鑑賞等ができる環境になりますように。小さな希望の灯りを絶やさないでゆきたい。

荒池乙葉 (葵高校美術工芸部 部長  若い感性から生まれた作品たち~U-18の作品展~)

今年度も会津地区の美術・工芸に関わる学生が制作した作品が展示されます。 未だ収束が見えないコロナ禍でなかなか落ち着いて制作に取り組めない状況でも、ひとりひとり作品と向き合い、こうして展示発表することができました。思うように表現できない時もありましたが、完成した数々の作品は芸術に関わる人々の希望になると思います。どの作品も個性豊かで、きらめいていると思います。感染症対策を万全に、是非ご来場ください。